JR東の新夜行列車「ルナ・アズール」 なぜ乗車チケットは窓口から消えたのか? 「はやぶさ」との対比で見る体験価値への転換
「運んだ距離」から「もたらす体験の価値」へ。JR東日本が2027年度初めに投入する定員125人の新特急「ルナ・アズール」は、窓口販売のないネット限定の旅行商品だ。新幹線グリーン車(2万4180円)+αの柔軟な値付けにより、硬直した運賃制度を越えて鉄道ビジネスの稼ぎ方を変える新たな挑戦を追う。
睡眠の質と地域への開放

かつての夜行列車の衰退には、新幹線網の広がりや夜行高速バス、格安航空会社(LCC)の台頭があった。
「時間がかかり疲れる」
というイメージが定着する中、移動の負担を減らし心地よい時間を過ごしてもらうため、人間工学や医学的視点から座席や空間の改良が続けられてきた。
そうしたこだわりは外観にも表れている。1号車にかつての国鉄「20系寝台特急」を彩った「青15号(メモリアルブルー)」、10号車に未来を示す濃い青「ミッドナイトホライズン」を配し、その間を夜明け前の空を思わせる白い線「ブルーモーメント」で結ぶことで、歴史と新しさをひとつの流れとして表現した。
全室個室化とフルフラットベッドの導入は、睡眠の質を重んじ、翌日の旅をすっきり迎えてもらうためだ。さらに、大がかりな食堂車は繋がず、5号車のフリースペース「ルナ・ヴィスタ・ラウンジ」での軽食や飲み物の提供にとどめた。
外部の食文化と手を結ぶこの仕組みは、車内の運営費用を抑えるだけでなく、車内という場を沿線の飲食店や生産者に開き、地域と共に新しい価値を育てる試みでもある。