なぜ京急は営業収益を「1000億円」も増やせるのか? 羽田空港駅の大規模改修と収益モデルの変化、問われる次の一手とは
京浜急行電鉄が変貌を遂げようとしている。過去最高となる449億円の鉄道設備投資を進める一方、今期の営業収益は不動産事業の急成長を背景に前期比32%増の4015億円と、1年で約1000億円も急増する見通しだ。本業の枠を超え、私募リートなど「不動産投資会社」へと舵を切る同社の戦略と勝算を読み解く。
不動産投資会社への転換

気になるのは、「急成長」と見込まれている不動産販売業の中身である。
不動産販売業のうち分譲マンション販売は、事業用地の取得から建物の建設、販売、引き渡しまでに一定の期間がかかる。そのため、仕入れの時期と販売の時期に時間の差が生じる。大規模物件ではその差が数年に及ぶこともあり、1年ごとの連結決算では、前期との反動で営業収益が大きく増減する場合がある。ただし、このような動きは業界では一般的に知られており、資金繰りに問題がなければ、過度に結果を気にする必要はない。
一方で、分譲マンション販売が住宅をつくり、一般の買い手に売る事業であるのに対し、同社が近年力を入れている不動産流動化(不動産回転型ビジネス)は投資に近い性格を持つ。一般的な不動産回転型ビジネスは、不動産の取得や開発、改修などを行い、価値が上がった段階でファンドなどに売却し、その資金で次の物件を取得して投資を続ける形である。
ただし同社が2025年度に不動産流動化で売却した物件には、社員寮や国道拡幅用地なども含まれている。売却益が特別利益として計上された事例もあり、現時点では資産の売却という面も見られる。
もっとも、京急グループでは、京急アセットマネジメントが三井住友信託銀行および三井住友トラスト不動産投資顧問と資本提携を行い、商号を京急SMTBアセットマネジメントへ変更するなど、不動産流動化を受ける私募リート(非上場の不動産投資ファンド)の組成準備を進めている。保有資産の売却に加え、今後の不動産流動化に向けた新規用地の取得(分譲・賃貸マンションなど)も進められている。
私募リートは2026年度下期の運用開始が計画されており、これらが予定どおり進めば、京急グループは不動産投資会社としての性格を強めることになるだろう。