なぜ親の「8割」が資金援助するのか? クルマ購入で「親子の役割分担」が広がる根本理由

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新社会人の5割超が購入に前向きなマイカー。しかし、若年層の平均給与277万円に対し、新車価格の高騰や維持費の負担が自力調達の壁となる。約8割の親が費用を支援するなか、車種選びの主導権は子が握る二層化が定着。安全を求める親と定額制を好む子の需要を満たす、自動車販売の新たな生存戦略に迫る。

新社会人のクルマ需要

運転する若者イメージ(画像:写真AC)
運転する若者イメージ(画像:写真AC)

 アントプロダクション(大阪市)が日本在住の男女300人を対象に実施し、2024年12月に公表した主な通勤手段に関する調査によると、最も多かった通勤手段は自動車で、全体の40.3%(121人)を占めた。

 地方都市を中心に、日々の移動や通勤におけるマイカーの重要性は依然として高い。地方では自家用車は趣味の対象ではなく、働くために欠かせない生活基盤となっている。公共交通の縮小が進む地域では、移動手段を確保することが仕事の効率を保ち、希望する職に就くための前提となるからだ。

 そのため、新社会人になる時期にクルマの購入を考える若者も少なくない。リセールバリュー総合研究所(東京都港区)が全国の18~25歳の男女474人を対象に実施し、2026年2月に公表した新社会人のクルマ購入・通勤に関する意識調査では、新社会人になってから、またはなるタイミングでクルマを購入しましたか、あるいは購入する予定ですかとの問いに対し、すでに購入したが17.5%、購入予定があるが17.3%、検討中が16.5%だった。これらを合わせると、全体の51.3%が購入に前向きな姿勢を示していた。

 若者が購入に前向きな背景には、働くうえでクルマが必要とされている実情がある。若年層にとってクルマは、自身の立場を示すものではなく、仕事や日常生活を支える実用品としての意味合いを強めている。こうしてマイカーへの需要が働く現場から生まれる一方で、実際の購入過程では、これまでとは異なる形で家族や周囲と相談しながら判断する動きも広がりつつある。

車種選びを任せる理由

子どものクルマ購入に対し親が費用をサポートしている割合(画像:KINTO)
子どものクルマ購入に対し親が費用をサポートしている割合(画像:KINTO)

 2026年1月にKINTO(愛知県名古屋市)が公表した、新社会人や新入学生を対象とするZ世代の子どものクルマ購入・契約に関する親の意識調査(307人対象)によると、子どもが初めてマイカーを持った時期の属性は、社会人(正社員)が56.0%、大学生・専門学校生が23.1%だった。

 新生活の始まりに合わせてクルマを用意する動きは広く見られるが、その買い方にはこれまでとは異なる変化が見られる。親が購入費用の多くを負担する一方で、実際の車種やグレードの選択は子どもが主導するという形だ。費用は親が支え、選ぶのは子どもという構図は、なぜ広がっているのだろうか。

 その背景には、家族の中で無駄な出費を避けようとする考え方があるとみられる。大量消費の時代を経験し、所有することに価値を見いだしてきた親世代と、利便性や実用性を重視するZ世代の子どもの間では、クルマに対する考え方に大きな違いがある。親が自分の好みを優先して車種を決めれば、子どもがそのクルマを使わなくなる可能性がある。その場合、支出した費用が十分に生かされないことにもなりかねない。

 そのため親は費用負担に役割を絞り、日常的に使う本人である子どもに車種選びを任せる傾向が強まっている。こうすることで、購入したクルマが実際に使われ続ける可能性を高め、家族全体として納得しやすい選択につなげているのである。

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