トヨタ、「次世代EV」開発中止は何を意味するのか? EV市場が“一枚岩”で語れなくなった根本理由

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トヨタのレクサス次世代EV「LF-ZC」量産見直しは、EV需要が米欧中で8~47.9%とばらつく中で進む判断だ。電池価格低下やHV需要も絡み、量産時期の見極めが各社戦略の焦点となっている。

開発工程の分離と判断の合理性

EUにおけるパワートレイン別シェア2025年(画像:欧州自動車工業会)
EUにおけるパワートレイン別シェア2025年(画像:欧州自動車工業会)

 今回の「次世代EVの開発中止」は何を意味するのか、内容をわけて見る必要がある。明らかになったのは、レクサスの次世代EV「LF-ZC」の量産に向けた開発の中止であり、車づくりの考え方そのものやEV事業全体の停止ではない。

 自動車の製品化は、研究開発、試作、量産に向けた検討、生産準備、生産という流れをたどる。今回のレクサスLF-ZCは試作の段階までは進んでいたが、その先の量産に向けた検討から先、製品として市場に出すための段階が止まったにすぎない。

 実際には、ギガキャスト構造の採用や車載OS「Arene」、全固形電池の開発は続くとしている。量産に向けた準備を進めるうえで、研究開発の時間がまだ必要だった可能性もある。いずれにしても、技術開発と量産への動きは別の段階にあるため、今回の判断はEV事業からの撤退ではなく、量産に向けた時間の調整と見ることができる。

 トヨタの件に限らず、ホンダをはじめとする各社のEV事業見直しでも「EV需要の鈍化」が理由として挙げられている。ただし、EV市場が本当に一様に減速しているかは慎重に見る必要がある。実際には、米国、欧州、中国で状況は大きく異なる。

 新車販売におけるEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の割合は、米国が8%、欧州が26.8%、中国が47.9%となっている。米国では政策の変化によりガソリン車回帰の動きがあり、EV比率は伸びにくい状況にある。欧州は補助制度の見直しや充電網整備の遅れで伸びが鈍っている。一方、中国は買い替え支援策などを背景に大きく伸びている。

 このように地域ごとの差が大きく、「EV市場」をひとつのまとまりとして語ることは難しい。実際には

・政策
・価格
・充電環境

の違いを持つ複数の市場が並んでいる状態であり、世界的に減速といったいい方だけでは実態を捉えきれない。自動車メーカーには、量産に向けた動きを各地域の状況に合わせて細かく進める対応が求められている。

 EVを市場に出すには、生産準備や生産の段階で工場設備の改修など大きな投資が必要になる。自動車メーカーは、研究開発を含むこうした投資を長い期間で回収する前提で動くことになる。

 しかし現状では、地域ごとにEVの売れ行きが大きく異なり、販売台数の伸びも読みづらい。さらに世界情勢の先行きも見通しにくく、不確実性は高い状態にある。また米国や欧州では、EVよりも収益性の高いHVが一定の支持を得ている状況が続いている。

 こうした条件のもとでは、EV投入の時期を後ろにずらす判断には一定の合理性がある。短期の収益と長期の投資をどう両立させるかという経営判断の問題でもある。今回のトヨタの判断は、米国・欧州・中国でEV化の進み方が異なり、かつHVの販売が成立している環境を前提として成り立っている。

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