「EV一辺倒」は変わるのか? テスラvsプリウスで見えた“クルマ選び”の新基準とは
EV普及と用途への価値転換

テスラが世界的に電気自動車(EV)を広めた功績は、今の車をめぐる動きを語る上で欠かせない。2009年の「ロードスター」から始まり、「モデルS」「モデルX」「モデル3」、そして「モデルY」と矢継ぎ早に市場へ投入されたことで、EVは社会に認められた選択肢へと変わっていった。
なかでもモデルYの勢いは目覚ましい。2023年から3年連続で世界販売台数のトップを守り抜き、累計で400万台を超えた。ハイブリッド車(HV)などを抑えて乗用車全体で首位に立ったという事実は、電動化が人々の暮らしのなかに浸透した証しだろう。
こうした普及が進むなかで、車に求められる価値も様変わりしてきた。どこでも同じように走ることを求めるのではなく、地域の気候や、走る道との相性を見極める。車をめぐる産業のあり方は、そうした新しい段階へと差し掛かっている。
AAA調査が暴く環境適応の実像

「EVこそが効率に優れ、いずれ内燃機関に取って代わるはずだ」
という見方が広がる一方で、最近では気温が走りに及ぼす影響に注目が集まっている。米国自動車協会(AAA)が2026年5月1日に発表した調査結果は、そうした関心の裏側にある実態を浮き彫りにした。
調査対象となったのは、トヨタ・プリウスやホンダ・CR-VといったHV3車種と、テスラ・モデルYを含むEV3車種。それらを比較して見えてきたのは、外気温による効率の変動はEVだけの問題ではなく、HVにも同じように起こるという事実だった。
効率の良し悪しは車の仕組みだけで決まるわけではない。走る環境との組み合わせ次第で、その中身は変わる。街なかではEVが持ち前の力を発揮する一方で、寒冷地や高速道路ではHVがその座を奪い返す。今回の調査が物語っているのは二者択一の話ではない。使う場所や目的によって選ぶべき車が変わる――という現実だ。