「EV一辺倒」は変わるのか? テスラvsプリウスで見えた“クルマ選び”の新基準とは
酷暑の影響と充電環境の経済性

今回の調査で興味深いのは、これまで語られてこなかった、夏の暑さがHVに与える影響が浮かび上がったことだ。外の気温に左右されるのはEVだけではない。HVもまた、厳しい環境の変化と無縁ではない。
気温35度の街なかを走った場合、効率の落ち込みはEVの14%に対し、HVは16.8%に達した。
「寒暖に弱いのはEV特有の問題だ」
という思い込みを覆す結果だ。HVであっても、冷房負荷やシステム内部の温度上昇により、全体の効率が押し下げられてしまう。
いまや酷暑への対策は、どんな仕組みの車にとっても避けて通れない。開発の現場も、車全体の熱をどう制御するかに重きを置くようになっている。光を跳ね返す塗装や熱を遮る素材、電気部品を冷やす技術。これらは、どんな気象条件でも車の価値を守るための土台となっている。
一方、エネルギー効率を走るためのコストに換算すると、別の景色が見えてくる。EVの経済的な強みは、家で充電できる環境があって初めて成り立つものだ。
マイナス6.6度のなかで1000マイル(1609km)を走ったとき、EVのコストは87.75ドル(1万3978円)。HVより29%安く済む。ただ、EVは寒さによる上昇が激しい。常温では55.64ドル(8863円)だったのが冬場には58%も膨れ上がる。対するHVは、もともとのコストこそ95.51ドル(1万5215円)とEVより72%高いものの、冬の上昇幅は30%程度に収まっている。
公共の充電設備に頼るとなれば、気温に関わらずEVのコストがHVを上回る。車の経済性は、性能だけでなく、住んでいる場所やインフラと切り離せない関係にある。維持費が住環境で決まるという仕組みは、エネルギー供給や住宅の価値さえも変え、産業の枠組みを暮らしのあらゆる領域へと広げている。