時代が追いつかなかった傑作? いすゞが90年代に示した「SUV進化の源流」をご存じか

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国内の新車販売でSUV比率が30%を超える現代、その源流を辿れば一台の「予言書」に行き着く。いすゞ自動車が1997年に放った「ビークロス」だ。販売数は1751台と稀少だが、四半世紀も前にバックカメラやSUVクーペの概念を具現化した先見性は驚異的といえる。時代が追いついた今、その遺産を経済的視点で読み解く。

30年の時を経て追いついた時代

いすゞ自動車のウェブサイト(画像:いすゞ自動車)
いすゞ自動車のウェブサイト(画像:いすゞ自動車)

 2002(平成14)年、いすゞが乗用車の商いから完全に手を引くなかで、ビークロスは文字通り最後の一作として舞台を降りた。ところが、その考えは2010年代に沸き起こったSUVクーペの流行によって、鮮やかに蘇ることになる。

 トヨタのC-HRは2017年の販売台数が11万7299台にのぼり、SUVの新車販売で首位に立つほどの成功を収めた。さらに日産ジュークや三菱エクリプスクロスといった、姿形の際立つモデルが街を埋め尽くした事実は、使い手の好みが枝分かれし、かつての変わり種が

「主役」

へと様変わりしたことを教えてくれる。荒れ地での強さと、都会に溶け込む身なりをひとつにする。ビークロスが描いた姿は、20年から30年という時を経てようやく時代と重なり、今の乗り物の真ん中に座るようになった。効率や理屈が何より重んじられる今の現場では、未来の姿をそのまま形にして世に問うような、熱量をはらんだ製品が生まれる隙間は狭まっているのかもしれない。

 それでも、四半世紀も前に技術者たちが夢見た形が、現在の街角で当たり前の風景として走り回っている事実は、彼らの眼力がどれほど先を見ていたかを表している。ひっそりと市場を後にしたこの一台は、日本のクルマの歴史において、誇り高い先駆けとしてこれからも語り継がれていくに違いない。

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