「俺たちの知見はもっと強くなる」 自動車業界の約9割が直面する「一次情報」の壁、その先に広がる新たな可能性とは

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SDVへのシフトにともない、開発現場の「一次情報」が競争力の源泉となっている。しかし実態は、担当者の88.1%が活用に課題を抱え、知見が意思決定に直結する割合は2~3割に留まる。情報の氾濫が「判断の遅れ」を招く逆説のなか、工場の規模よりも組織の学習速度が問われる時代。知見を価値へ変える、真の経営力が試されている。

複雑化する判断基準と事業化の壁

PoCや試行的な取り組み・試作品を通じて得られた知見や検証結果の、その後の新規事業・新商品企画に関する判断や承認への活用度合い(画像:ファインディ)
PoCや試行的な取り組み・試作品を通じて得られた知見や検証結果の、その後の新規事業・新商品企画に関する判断や承認への活用度合い(画像:ファインディ)

 不確実さが続く市場において、新しい価値を生み出すための試行やPoC(概念実証)は、避けて通れない工程となった。ただ、今回の調査から見えてきたのは、検証で得られた知見が必ずしも事業の判断に生かされているわけではないという現実だ。

 実際に、知見を判断や承認に「9~10割使われる」「7~8割使われる」と答えた層は2割強に留まる。最も多かったのは「4~6割使われる」という回答で半数近い

「47.9%」

を占めており、せっかくの成果が次のステップへ滑らかに繋がっていない実態が浮かび上がる。

 どうしてこうした停滞が起きるのか――検証の項目が増え、情報が積み上がるほど、皮肉にも受け止める組織側の判断基準が複雑に絡み合ってしまう側面があるようだ。現に組織の悩みとして

「意思決定に時間がかかる」

との回答が43.8%に上り、「技術検証に留まり事業化判断に直結しない」という指摘も37.5%に達している。さらに職種ごとに目を向けると、抱える壁の違いも浮き彫りになる。「新規事業・R&D企画」では目的そのものの曖昧さが課題となる一方、「商品企画・製品企画」では、検証が技術的な確認だけで終わってしまい、事業化の判断に結びつかないことへの不満が37.5%と高い。

 これまでの自動車産業が守り抜いてきた

・高い品質へのこだわり
・未知の領域を手探りで進む機敏さ

を、どう折り合わせていくか。ここが成長のわかれ目になるだろう。検証を技術の成否で終わらせず、事業を支える確かな裏付けへと高めていく仕組みが求められている。手元にある情報がたとえ不完全であっても、それを切り捨てずに確信へと変えていく――そんな組織のあり方が、開発の速度を速め、投じた資金や労力を最大限に実らせる力になるだろう。

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