「俺たちの知見はもっと強くなる」 自動車業界の約9割が直面する「一次情報」の壁、その先に広がる新たな可能性とは

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SDVへのシフトにともない、開発現場の「一次情報」が競争力の源泉となっている。しかし実態は、担当者の88.1%が活用に課題を抱え、知見が意思決定に直結する割合は2~3割に留まる。情報の氾濫が「判断の遅れ」を招く逆説のなか、工場の規模よりも組織の学習速度が問われる時代。知見を価値へ変える、真の経営力が試されている。

情報の通り道を整える力

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 モビリティ産業の土台がハードウェアから通信やソフトウェアへと移り変わるなか、開発現場で生まれる「一次情報」の重みが増している。現場の生きた声やデータは、開発の各工程を繋ぎ、価値を引き出すための源泉といえるからだ。しかし、ファインディ(東京都品川区)が2026年5月21日に公表した調査結果を眺めると、現場の担当者の88.1%がこうした情報の活用に何らかの課題を抱えている実態が見えてくる。

 活用を阻む具体的な要因として挙がっているのは、「形式・粒度がバラバラで整理が必要」(40.3%)や、「要約されておらず読む時間がかかる」(37.2%)だ。さらには、必要な情報がどこにあるかわからない「所在が分からず探しづらい(34.1%)」といった摩擦も、現場の負担となっている。

 こうした状況は、爆発的に増え続ける情報量に対して、組織の対応が後手に回っている可能性を示している。かつての垂直統合型から、絶え間ない更新が求められる循環型モデルへと開発のあり方が変わるなかで、現場の知見をいかに滞りなく組織の判断へと結びつけていけるか。情報の通り道を整える力が、いま試されている。

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