「EV時代」はなぜ止まったのか? 6.8万口でも埋まらない、“充電できない社会”の正体

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米国のEVシフトが、かつてない機能不全に陥っている。バイデン政権が投じた50億ドルの巨額予算に対し、実支出はわずか0.6%。現場の目詰まりや政権交代という「政治の不確実性」が、産業の歩みを根底から揺さぶる。日米の比較から見えてくるのは、車両の性能以上に普及を阻む、強固な社会構造の壁だ。

政治の変節が招く投資判断の硬直

ドナルド・トランプ米大統領(画像:EPA=時事)
ドナルド・トランプ米大統領(画像:EPA=時事)

 2025年1月20日、トランプ政権の発足とともに、大統領令(EO 14154)による予算執行の見直しや停止措置が矢継ぎ早に打ち出された。これによって各地で進んでいた計画の足踏みや遅れが相次ぎ、充電インフラを担う事業者は軒並み動きを止めている。当然ながら、自動車メーカー各社も北米市場での戦い方を改めざるを得ない状況に追い込まれた。

 IEAの「Global Energy Review 2026」に目を向けると、米国のEV販売台数は2025年に前年比2%減という数字を記録している。市場の関心は目に見えてハイブリッド車(HV)へと移っており、政権交代という政治の動きが、企業の投資判断を厳しく縛り付けた格好だ。先行きの見えなさは消費者が買い控える理由となり、メーカー側も売れ残りの恐れを避けるため、エンジン車やHVへと再びかじを切っている。

 なかでも部材の国産化を厳格に求める動きは、これまで築き上げてきたサプライチェーンを断ち切り、設置コストを跳ね上げる要因にしかならない。企業にとって、こうした不透明な状況はそのまま経営上の危うさにつながる。メーカーが手堅く既存の資産から利益を得ようとするのは、いわば自分たちの身を守るための振る舞いだろう。

 この計画の停滞は、政治の移ろいやすさが産業の根幹を揺さぶり、企業の意欲を削ぎ落としていく現実を如実に物語っている。

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