国産バンの牙城どうなる? 世界「3位」の韓国グループが進める、「小型商用車」の価値拡張とは
世界3位の現代自動車グループから、起亜(キア)が13年ぶりに日本再上陸を果たした。狙いは国産勢の牙城、商用車市場だ。ギネス記録の航続距離693kmを誇るEVバンを武器に、商社の双日と組んで「車を超えた基盤(PBV)」を展開する。完成車販売からサービス提供へ。商用車が「動く不動産」と化す地殻変動が今、始まる。
合理のキア、情緒のフィアット

国内のLCV市場で、海外からやってきた強敵として無視できないのが、ステランティス傘下の「フィアット プロフェッショナル」だ。彼らが持ち込むのは、仕事の道具としての強さや使い勝手だけではない。イタリアらしい洗練された佇まいをまとい、物流の現場から遊び、さらには移動型の商売まで、幅広く応える器の大きさを持っている。
ステランティスジャパンは、すでにキャンピングカーの土台として支持を得ている大型バン「デュカト」に加え、2027年には街中での扱いやすさに優れた中型モデル「スクード」を日本へ持ち込むつもりだ。欧州の移動型住居市場で主役を張るデュカトは、日本でも車中泊という新しい文化を形作る存在になりつつある。
EVならではの静かさを強みにするキアに対し、フィアットがぶつけるのは、見た目の華やかさと欧州の現場で練り上げられた確かな実用性だ。これまでの日本メーカーが守ってきた「汎用的な道具」という枠組みを、一方は徹底した合理性で、もう一方は
「心に響く情緒」
という異なる価値で切り崩そうとしている。この二層からの攻勢は、国内市場が当たり前としてきた商用車のあり方を、根本から揺さぶり始めているのかもしれない。