国産バンの牙城どうなる? 世界「3位」の韓国グループが進める、「小型商用車」の価値拡張とは
世界3位の現代自動車グループから、起亜(キア)が13年ぶりに日本再上陸を果たした。狙いは国産勢の牙城、商用車市場だ。ギネス記録の航続距離693kmを誇るEVバンを武器に、商社の双日と組んで「車を超えた基盤(PBV)」を展開する。完成車販売からサービス提供へ。商用車が「動く不動産」と化す地殻変動が今、始まる。
航続693キロ、商用EVの衝撃

キアは国内での販売に向け、大手商社の双日と手を組んだ。双日は自ら100%出資の子会社・キアPBVジャパン(東京都千代田区)を立ち上げ、2026年5月15日には第1号店となる直営ディーラー・キアPBV東京西(西東京市)をオープンさせている。商用車の世界において、商社が自ら事業の表舞台に立つ狙いは明白だ。車両の提供だけでなく、資金のやり繰りや電力の管理といった、法人利用に欠かせないサービス基盤を丸ごと整える役割を担う。
市場に投入されるのは、5人乗りの「PV5パッセンジャー」(679万円)と、ふたり乗り貨物仕様の「PV5カーゴ」(619万円)の2車種だ。価格面では、貨物バンに対して環境省が管轄するLEVO補助金から最大196万4000円が交付される点が大きい。特筆すべきはPV5カーゴが持つ航続距離だろう。一度の充電で
「693.38km」
を走り抜く性能はギネス世界記録にも認められており、日々の配送現場で充電のために仕事を止める時間を減らし、車両を動かし続ける利益を支える。
すでに欧州では確かな実績を積みつつある。2026年第1四半期の欧州市場では9%の分け前を勝ち取り、世界販売台数は8000台を超えた。韓国の華城工場から送り出されるこれらの車両を前にして、使い手側はもはや目先の購入価格だけを見ているわけではない。
補助金や日々の燃料代、メンテナンス費用までを含めた、仕事の道具としての安さを推し量り始めているのだ。