中古車価格を歪める「最初の1桁」――選び方で「2.7万円」も損する? 米480万件の分析が示す価格の分岐点

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中古車市場では走行距離「4万9999マイル」と「5万マイル」の境界で最大約2万7000円の価格差が生じる。最新研究は、わずかな桁の違いが価値判断を歪め、販売店の利益構造やEV評価にも影響する「数字の罠」を浮かび上がらせている。

プロが狙う買い手の心理的隙

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 米テキサス大学とシカゴ大学の研究チームが2026年2月に「Journal of Marketing Research」で発表した調査によれば、中古車を検討する際、人々は走行距離計の最初の数字に引きずられて車両価値を見誤る傾向がある。テキサス大学マコームズ・ビジネススクールのラグナート・ラオ教授は、こうした心理的な偏りが、購入時の思わぬ損失につながると指摘している。

 具体的な数字を見ると実態がわかりやすい。走行距離が4万9999マイルの車に対し、買い手は5万マイルの車と比べて、最大で

「170ドル(約2万7000円)」

も高い金額を支払う状況が確認された。距離の差はわずか1マイル(1.6km)だが、支払い額には小さくない開きが出ている。

 ラオ教授はこの余計に支払われた分を、走行距離を慎重に確かめなかったことへの「精神的な税金」と呼んでいる。個人同士の取引では目立ちにくい現象だが、利益に敏感なディーラー側はこうした傾向を巧みに突いている。

 市場に転がっている不合理な価格差を収益に変えることに長けた彼らは、客からこの税金を回収することで利益を積み増している格好だ。情報の持ち方の差を利用し、買い手の心理的な隙を突くことで、自らに有利な取引へと導いている実態が透けて見える。

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