デザイン「攻めすぎ」 日産「新型JUKE EV」は成功するのか?――「3期ぶり黒字」見通しで反転攻勢、再生の旗印となるか
欧州EV戦略の中核として日産が投入する新型JUKEは、デザイン刷新と車載ソフト強化を軸に据えたモデルである。一方でサンダーランド工場の稼働低下や国内拠点再編など生産体制の縮小も進む。黒字回復見通しの下、持続的成長への転換を示す象徴として、その成否は2027年市場に委ねられる。
付加価値を生む次世代車載アプリ
新型JUKEと並ぶ注目点として、車載ソフトの進化がある。日産は新型JUKEの発表に先立つ2025年3月20日、4screenと提携し、英国やドイツなど五つの欧州市場で「Nissan Deals」を開始していた。
「Nissan Deals」は、位置情報をもとに飲食店や小売店、給油や充電の設備などの情報をその場で表示するアプリである。Googleシステム搭載車が前提となるが、これによりスマートフォンに近い操作感で車内サービスを利用できるようになる。
さらに先を見れば、Googleが車内の情報・娯楽分野への関わりを一段と広げる可能性も指摘されている。現時点では複数の仕組みが組み合わさった状態にあるが、車両全体のソフト面の統合が進めば、競争の軸は走行性能などのハード面から、使い勝手などのソフト面へと移っていくとみられる。
新型JUKEは、こうした「車とソフトの結び付き」を示す存在になり得る。
新型JUKEの評価の軸は大きく三つにわけられる。第一に大胆な見た目、第二にGoogleを土台とした車載ソフト、第三にコンパクトSUV市場での競争力である。
このモデルが属するBセグメントは、入門向けで近距離利用を前提とするAセグメントや、40000ユーロを超えるCセグメントとは明らかに狙う層が異なる。価格と使い勝手の両立を重視する利用者が中心となる領域だ。
EVへの移行の進み方が当初の見通しほど速くないなかで、各社とも車種の拡充に踏み切りにくい状況が続いている。そのなかで、競合が出そろう前に新型JUKEを投入する意味は小さくない。