デザイン「攻めすぎ」 日産「新型JUKE EV」は成功するのか?――「3期ぶり黒字」見通しで反転攻勢、再生の旗印となるか
聖域なき国内外拠点の構造改革
新型JUKEの生産拠点であるサンダーランド工場は、日産の欧州戦略の中心を担う施設である。同工場は2013年からリーフの生産を続けてきたが、「EV36Zero」プロジェクトの一環として2025年に生産ラインを見直し、2025年12月からは三代目LEAFの生産も始めている。敷地内には、中国のエンビジョングループ傘下のバッテリー企業AESCの大規模工場もあり、EV生産を一体で支える体制が整っている。
一方で、こうした投資の流れとは別に、工場の運営は大きな転換期を迎えている。日産は2025年5月に公表した経営再建策「Re:Nissan」に基づき、サンダーランド工場の2本ある生産ラインを1本にまとめ、実質的に生産能力を半分にする方針を固めた。あわせて欧州全体で従業員のおよそ10%にあたる900人の削減にも踏み切る。背景には欧州での日産のシェア低下がある。2015年に3.9%だったシェアは2025年には2.2%まで下がった。これに対し、上海汽車集団の2.3%や比亜迪(BYD)の1.4%など中国勢が存在感を強めている。結果として工場の稼働率は2025年実績で45.5%にとどまっている(『日本経済新聞』2026年5月7日付け)。
この「選択と集中」の動きは日本国内にも及んでいる。日産は2027年度末までに、国内の主力拠点のひとつである追浜工場(神奈川県横須賀市)での車両生産を終え、生産機能を日産自動車九州へ移すことを決めた。同工場で働く約2400人のうち、九州への移動が難しい従業員については、近くに拠点を持ついすゞ自動車やIHIが採用する意向を示すなど、異例の形で受け皿づくりが進んでいる。欧州のサンダーランド、日本の追浜といった主力拠点を縮めてでも、固定費を減らし効率を高める判断を迫られているのが現在の日産の状況である。
こうした厳しい環境を乗り切る手段として、欧州では余った設備を中国の奇瑞汽車などと共同で使う構想も出ている。固定費を抑え工場を維持するうえでは現実的な案だが、欧州市場で競合する中国勢の後押しにつながる可能性もある。
環境規制の見直しが進む一方で、中韓メーカーとの価格競争は一段と強まっている。部品供給網を維持し、拠点の役割を保つには、新型JUKEの投入に加え、他社との関係も含めた難しい判断が続くことになる。