いよいよ「SUVブーム」終焉か? 平均価格770万円が崩す米国市場、トヨタ・カムリが「モデルY」に迫る根本理由

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SUV全盛から20年、米新車販売は2026年Q1で371万台(前年比▲5.5%)と減速。平均価格4.9万ドル、EV減税終了と金利高で“実利志向”が強まり、セダン回帰が進み始めた。

市場嗜好の変遷と高効率な車体への回帰

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 セダンが主役の座を降りた歴史を辿ると、そこには生活様式の移り変わりが映し出されている。かつては成功の象徴であり、車の代名詞でもあったセダンだが、今や販売ランキングの上位で見かけることは少ない。

 需要が引いた節目は二度あった。一度目は1990年代半ばのミニバンブームで、多人数乗車という実用性が重宝された。二度目は2000年代初頭から続くSUVの隆盛だ。走りの力強さと遊び心が支持を集め、市場の主役はSUVや小型車へと取って代わられた。

 使い勝手に対する評価が変わったことも大きい。エンジン、座席、荷室を切りわけた構造は、いつしか空間効率が低いと見なされるようになった。視界の低さによる運転への不安も、背の高い車に慣れた層が離れる一因となった。

 ところが、エネルギー価格が跳ね上がり、効率が厳しく問われる今の状況下で、こうした見方は逆回転を始めている。これまで弱みとされた背の低さは、空力抵抗を減らして走行費用を抑えるための、理にかなった形として捉え直された。かつて重宝された車高の高さが、今やエネルギーを余計に食いつぶす重荷として意識され始めている。

 世のなかの価値観の変化も無視できない。高級セダンが豊かさを物語った時代は遠のき、存在感のあるSUVが地位を示す風潮が定着して久しい。若い世代にしてみれば、セダンの形は古い慣習の残滓に見えていたのかもしれない。しかし、無駄な重さを運ぶための出費を嫌う合理的な層にとって、余計な飾りを省いたセダンは、効率よく移動するための確かな土台として、新たな意味を持ち始めているのだ。

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