いよいよ「SUVブーム」終焉か? 平均価格770万円が崩す米国市場、トヨタ・カムリが「モデルY」に迫る根本理由
米大手の戦略転換と日系メーカーの優位

デトロイトスリーは今、車両価格を抑え込むための現実的な手立てとして、セダンの品揃えを増やす動きを見せている。これまで彼らは、利益率の高いSUVやピックアップトラックに経営資源を注ぎ込んできたが、その成功体験も今や盤石ではない。
大型車への偏りは価格帯の底上げを招き、結果として買える層を狭めてしまう。初めて車を買う層を繋ぎ止めるため、セダンの投入が再び議論の場に上っている。高価なモデルに頼りすぎた収益構造が、市場の冷え込みによって工場の稼働率を下げるという脆さを露呈した格好だ。
オートモーティブニュースが伝えるところでは、フォード、GM、ステランティスの大手三社はいずれもセダンに熱い視線を送る。GMはキャデラック・CT5などの土台を活かし、ビュイックブランドで新型セダンを出す計画を進めている。また、ステランティスの開発担当は、3万ドルを切る価格を実現するためにSUV以外の形を探っている。フォードのジム・ファーリーCEOも、手頃な価格を叶える手段としてのセダン復活を否定しなかった。手元にある資産を賢く使い回すやり方は、投資を抑えながら顧客が流出するのを防ぐための経営判断にほかならない。
対照的なのが日本メーカーだ。セダンの火を絶やさなかったことで、今、有利な位置に立っている。トヨタ・カムリの2026年1月から3月までの累計販売台数は8万台に届く勢いで、テスラ・モデルYと肩を並べるほどだ。ホンダのシビックやアコード、日産のアルティマなども月間1万台から2万台規模で売れ続けており、需要は底堅い。日産が2027年にインフィニティQ50の投入を控えているほか、三菱自動車も選択肢を広げる構えを見せるなど、実利を取る姿勢が際立つ。
日本車のセダンが根強く支持されるのは、全米平均を大きく下回る3万ドル前後という価格設定があるからだ。壊れにくく信頼できる移動の手段として、コストパフォーマンスの良さが改めて光っている。若い世代やエントリー層の支持をしっかり固めることで、市場での存在感を守る戦略が実を結んだ。収益の柱を守りつつ、市場での居場所を失わないための、粘り強い戦略の転換といえる。