「赤字は55億円超…」 JR東日本ワーストの不採算区間、普通列車で始まった“見慣れぬ動き”の正体

キーワード :
, ,
日本郵便とJR東日本は2026年4月、羽越本線で貨客混載の定期輸送を開始した。初回は約3kgで、効率化と鉄道収益確保の両立や他区間展開が課題となる。背景には55億円規模の赤字がある。

「運べるものは運ぶ」物流モデルの転換

鉄道車両と郵便車両の連携イメージ(画像:JR東日本)
鉄道車両と郵便車両の連携イメージ(画像:JR東日本)

 今回の取り組みで、日本郵便がJR東日本に支払う輸送料金は公表されていない。参考までに、JR東日本が示している「はこビュン」の法人向け輸送では、事前契約が必要で、特急や在来線を使い荷物が5箱以内の場合、1箱あたり1650円とされている。1箱は三辺の合計が約120cmの大きさを想定している。ただしこれは基本料金で、荷物の量や回数、区間によって変わる。

 この料金から考えると、乗務員室に収まる範囲で、肩掛けのやや大きめのかばん程度の荷物量では、1回の輸送でJR東日本が得る収入は小さいとみられる。それでもJR東日本にとっては、新たに専用の車両や列車、特別な場所を用意する必要がない。これまで使われていなかった車内の空間を使い、収入に変えられる点は意味がある。一方、日本郵便にとっても、JR東日本に料金を支払うとしても、人手が足りないなかで自社の車両を使う負担を減らせるなら、その利点は大きい。

 JR東日本グループは2025年3月、これまで新幹線を中心に行ってきた駅間の荷物輸送サービス「はこビュン」を強め、グループ全体で年100億円規模の収入を目指すと発表した。2026年3月23日には、荷物専用の新幹線を使い、平日に定期で約1000箱を運ぶ大口輸送も始めており、収入拡大に向けた動きは進んでいるように見える。

「はこビュン」だけで大きな赤字を埋めるのは難しいとみられるが、在来線に目を向ければ、郵便局の集配局同士の輸送など、鶴岡~あつみ温泉間以外にも活用の余地はある。また、日本郵便に限らず、ヤマト運輸なども営業所間の輸送を鉄道や路線バスに切り替える動きを進めており、こうした取り組みまで含めれば、広がりはさらに大きくなる。安全に運行できる範囲であれば、赤字を抱える鉄道路線を維持するために

「運べるものは何でも運ぶ」

という流れが今後強まる可能性があるだろう。

全てのコメントを見る