「赤字は55億円超…」 JR東日本ワーストの不採算区間、普通列車で始まった“見慣れぬ動き”の正体
日本郵便とJR東日本は2026年4月、羽越本線で貨客混載の定期輸送を開始した。初回は約3kgで、効率化と鉄道収益確保の両立や他区間展開が課題となる。背景には55億円規模の赤字がある。
広大な鶴岡市の地域事情

ではなぜ、JR東日本の広い沿線のなかで、鶴岡~あつみ温泉間が第1弾に選ばれたのか。この点を考えるには、鶴岡市の地域の事情と、日本郵便・JR東日本それぞれの事情を見ておく必要がある。
いまの鶴岡市は、2005(平成17)年に旧鶴岡市と周辺の三町一村が合併してできた自治体である。市の広さは東北で最大となる約1300平方キロメートルに及ぶ。このうち、あつみ温泉駅のある旧温海町は、合併で鶴岡市に入った地域だが、中心の市街地からは約30km離れている。現在も温海温泉を軸に、旧鶴岡市とは別のまとまりを持つ地域という印象が強い。
一方、日本郵便の側から見ると、鶴岡郵便局と温海郵便局はいずれも集配を担う局であり、その間で自社の車両による輸送が1日3往復あった。これは、同じ市のなかでも一定の輸送の需要があったことを示している。ただし見方を変えれば、荷物が少ない日や便でも両局の間を定期便として走らせる必要があり、効率の面で課題があった可能性もある。
地方の都市や町では、集配を担う郵便局が駅から少し離れた市街地にあることが多い.
鶴岡郵便局も駅からやや距離がある。一方で温海郵便局は、あつみ温泉駅のすぐ近くにある。この立地の違いも、第1弾の区間として選ばれた理由のひとつと考えられる。
前述のとおり、貨客混載の初日である4月13日に運ばれた郵便物は約3kgで、肩掛けのやや大きめのかばんで収まる量だった。今後、荷物が多い場合の運び方などには課題も残るが、この3kgが日常的な量だとすれば、車両一台を動かすには少なすぎる。
人手が足りない状況も踏まえると、郵便車両から鉄道による貨客混載へ切り替える流れは、自然なものといえる。