「赤字は55億円超…」 JR東日本ワーストの不採算区間、普通列車で始まった“見慣れぬ動き”の正体

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日本郵便とJR東日本は2026年4月、羽越本線で貨客混載の定期輸送を開始した。初回は約3kgで、効率化と鉄道収益確保の両立や他区間展開が課題となる。背景には55億円規模の赤字がある。

メンテナンスコストの重圧

JRあつみ温泉駅(画像:写真AC)
JRあつみ温泉駅(画像:写真AC)

 一方、JR東日本が今回の取り組みに踏み切った背景には、より重い事情がある。

 JR東日本が2025年10月に公表した「ご利用の少ない線区の経営情報(2024年度)」によると、羽越本線の村上~鶴岡間の運輸収入は6億6000万円にとどまるのに対し、営業費用は61億7400万円にのぼり、差し引き

「55億1400万円」

の赤字となった。この赤字額は同社の線区で最大である。もっとも、営業係数は935円で、100円の収入を得るのに9倍以上の費用がかかる状況ではあるが、開示された線区のなかには係数が1万円を超える区間もある。赤字額は最大でも、係数で見れば利用の少ない線区のなかで特に悪い水準とはいえない。

 赤字額が大きくなる理由は、村上~鶴岡間が約80kmと長く、県境をまたぐ利用の少ない区間であることに加え、重量の大きい貨物列車の運行が多く、線路などの手入れに費用がかかるためだ。

 貨物列車はJR貨物がJR東日本に線路の使用料を払う形で走っている。詳しい説明は省くが、この使用料はJR貨物に有利な水準とされ、JR東日本をはじめとする旅客会社の負担が重いといわれている。

 もっとも、羽越本線の村上~鶴岡間は、この区間だけで成り立っている路線ではない。同区間を含む新潟~酒田・秋田間には特急「いなほ」が1日7往復走っており(臨時列車を除く)、貨物列車も羽越本線を越えて広い範囲で運行されている。このため、この区間は他の線区の収入にも寄与している面がある。

 村上~鶴岡間のような利用の少ない区間だけを取り出して赤字額を強調するのは、公平とはいいにくい。とはいえ、赤字の額が大きいことに変わりはなく、この区間では今回の取り組みを含め、収入を増やすための手立てが求められていた。

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