「これならローカル線を維持できる」 JRが選んだ“昭和の風景”――20駅で止まったIC網を広げる現実解とは

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JRグループが2027年春に導入する「みせるモバイル定期券」は、ICエリアの壁を越える一手である。50台未満のバス導入でも8500万円かかる設備負担を回避し、画面提示という簡易手法で地方路線をつなぐ。デジタル化の常識を問い直すこの仕組みは、交通インフラの持続性を左右する転換点となる。

ICエリア分断の解消と全国接続

「みせるモバイル定期券」サービス画像:JR東日本)
「みせるモバイル定期券」サービス画像:JR東日本)

「みせるモバイル定期券」の運用は、日本の東西をモバイルSuicaとモバイルICOCAで分担する形をとる。JR北海道とJR東日本のエリアはモバイルSuicaが、JR東海から西日本、九州、四国にいたる広大なエリアはモバイルICOCAがそれぞれ受け持つ。

 利用者は駅の券売機や窓口に足を運ぶ必要がなく、手元のアプリから定期券を購入できる。これまで困難だったICエリア外の駅同士や、エリアの内外をまたぐ区間の購入も可能になった。実際の利用シーンでは、エリア内なら改札機にタッチし、エリア外では駅や車内で係員に画面を見せることになる。

 長距離の通勤や通学において、従来の交通系ICカードでは対応しきれなかった不便さは、これで大幅に解消されるだろう。画面を提示して確認を受けるやり方は、かつての紙の定期券と変わらない。あえて人の目による確認を組み合わせることで、システムの制約を乗り越え、全国の路線をひとつのネットワークとしてつなぎ合わせている。

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