廃止か、国の関与か? JR北海道「赤字900km」と上下分離が突きつける制度の限界
営業距離の4割超、約900kmに及ぶ黄8線区が揺れる。JR北海道は147億円の赤字を抱え、収入825億円に対し費用1513億円という厳しい構図だ。基金で穴埋めする経営は限界に近づき、上下分離や廃線を巡る議論の先に、国と地域の負担のあり方が問われている。
黄8線区の全体像

JR北海道は2026年4月15日、単独での維持が難しい赤字の8区間(いわゆる黄8線区)について、考え方を公表した。対象区間の総延長は約900kmに及び、同社の営業距離の4割強を占める。2024年度は147億円の赤字を計上しており、経営への影響は大きい。JR北海道は、これらの区間について「上下分離方式」などを含む複数の選択肢を示し、地域関係者との話し合いを進める方針だ。
ここで、JR北海道の2026年度事業計画を見ておく。旅客運輸収入は、訪日客の取り込みや観光需要の掘り起こしにより、過去最高の825億円を見込む。一方で、鉄道事業の営業費は1513億円とほぼ倍に達する見通しで、全事業の営業損益は579億円の赤字となる見込みだ。経営安定基金の運用益358億円で赤字を補うものの、経常利益は約200億円の赤字となる見通しである。
経営安定基金は、国鉄改革時に、いわゆる三島会社の営業収支を支えるために設けられたが、現在は十分とはいいがたい。国は2021年に「国鉄清算事業団の債務等の処理に関する法律」を改め、鉄道施設などの整備に対する助成金を出して支えているのが実情だ。今後も人口減少や自家用車の普及により、地方鉄道の需要は長い目で見て縮小が続くとみられる。
こうしたなかで、JR北海道の黄8線区をめぐる議論は、国鉄改革時に整えられた仕組みが時代に合わなくなってきたとも受け取れる。そこで、国鉄改革時の制度と現在の鉄道政策を、歴史の流れのなかで確かめていきたい。