「子どもがいる = ミニバン」はもう時代遅れ? 資産3000万円層ですら崩れ始めた家族車の“定番像”
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SUVの保有増加と市場地位

SUVの存在感がここ数年で際立っている事実は、自動車市場の力学が塗り替わりつつあることを如実に物語っている。
「全国カーライフ実態調査」を辿ると、主に運転する車として「SUV・クロカン」を挙げる人の割合は、2021年の8.0%から右肩上がりに推移。2025年には
「14.6%」
にまで達した。この数字は、長らく家族の主役だった「ミニバン」の13.9%を上回る。SUVが「憧れの一台」から、実利をともなうファミリーカーの筆頭へと押し上げられた証左だろう。
これほどまでにSUVが支持を広げたのは、走行の安定性や積載能力といった道具としての使い勝手に加え、中古車市場における資産性の高さがある。世界的な需要の強さは、手放す際の価格を下支えし、数年後の乗り換えを見据えたトータルコストを抑えることにつながる。所有する喜びを満たしながら、将来の出費も賢く守る。そんな合理的な視線が、選び手の背中を押している。
弱点とされた燃費性能の向上も見逃せない。トヨタ「ハリアー(ハイブリッド・2WD)」の22.3km/L(WLTCモード)や、マツダ「CX-5(ディーゼル・2WD)」の17.4km/Lといった数値は、今や多くのミニバンを凌駕する水準にある。技術の進歩によって、大きな車体であっても維持費に神経を尖らせる必要がなくなった。経済的な心理的ハードルが下がったことで、選択肢としてのリアリティが増しているのだ。
もちろん、スライドドアの不在や多人数での乗車に適したモデルが限られるといった課題が消えたわけではない。2024年10月に登場したマツダ「CX-80」のように多人数乗りを意識した例もあるが、純粋な実用面では依然としてミニバンに軍配が上がる。それでもSUV人気が衰えないのは、自身の満足感や売却価値までを含めた「納得感」を求める層が増えているからだろう。
日々の使い勝手と将来の価値。このふたつを天秤にかけ、両立させようとする冷静な判断が、今の家庭の車選びを動かしているのだ。