「便利そうには見えるけど…」 カーリースはなぜ選ばれないのか? 5割超が「利用したくない」と答えた根本理由

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カーリース認知73.7%、検討62.9%に対し契約18.6%。さらに未利用意向54.7%。72万台超へ拡大する一方で、所有観と利用型の隔たりが浮き彫りとなっている。市場拡大と所有意識の乖離が鮮明になっている。

利便性と所有意識のずれ

車の持ち方に関する調査(画像:ナイル)
車の持ち方に関する調査(画像:ナイル)

 検討の遡上に載りながら選ばれない背景には、

・供給側の訴求ポイント
・需要側の志向のミスマッチ

があるのではないか。リース会社は、車検や整備に付随する手間の軽減を利点に掲げる。対して、今後の利用を否定した層にとって、保守管理は車両を保有・維持する一環として重要な意味を持つ。提供側が「利便性」と説明する要素が、利用者には車を所有する実感の希薄化と映っているのだ。

 認知率が高まり、検討層が厚くなりながら、実際の契約率が低い水準にとどまるのは、検討過程でこの価値観の相違が顕在化するためだろう。効率を優先する仕組みと、対象を自ら管理したいという欲求が対立。多くの消費者が最終的にリースを回避したのは、利便性の代償として管理の自由が制限されることへの抵抗感が強かったためといえる。

 市場の将来動向は、三つの観点から整理できる。まず、現状の延長線上にある拡大だ。統計データによると、契約台数は2008年から一貫して増加している。ただ、検討層の多くが利用を望まないと回答している事実を考慮すれば、この拡大は受容の広がりというより、車両価格高騰などで購入が困難になった層が代替手段として選択している側面が強い。

 次に、技術革新が利用型への移行を促す可能性だ。車両のソフトウエア化が進めば、利用者が独自に手を加える余地は狭まる。所有者が関与できる範囲が限定的になれば、返却を前提とした仕組みへの心理的抵抗も減退していくとみられる。

 一方で、所有の価値が再認識される動きも予想される。あらゆる機器がネットワークで管理される社会において、外部の干渉を受けず個人の裁量で運用できる車両は希少な存在となる。利便性が向上するほど、自ら管理・維持したいという欲求を維持しようとする層も一定数残る見通しだ。

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