「EV一辺倒」からの解放――1台売るごとに430万円の赤字、フォードが花形部署を畳んでまで回帰する「デトロイトの流儀」

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BEV一本化を見直すメーカーが相次いでいる。ただ、HVへの回帰をBEV戦略の失敗とみるのは早い。電池コストや市場、インフラの条件はメーカーや地域ごとに大きく異なり、最適解も変わる。三社の判断の背景にある構造を、データをもとに整理する。

BEV事業の赤字拡大

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 2025年、フォードの独立電気自動車(EV)部門「Model e」が通期で48億ドルもの損失を計上したというニュースは、業界を大きく揺さぶった。販売台数17万8000台に対し、1台売るごとに約2.7万ドル(約430万円)の赤字を垂れ流している計算になる。文字通り、売れば売るほど資金が底をつく深刻な事態だ。

 この窮状を前に、同社はついに大きな決断を下した。過去5年にわたりバッテリー式電気自動車(BEV)事業をけん引してきた「Model e」を解消し、同部門の顔でもあったダグ・フィールド氏の退任を発表したのだ。

 実際、2025年末には174億ドルの特別損失を計上し、ブランドの象徴だった「F-150 Lightning」の生産打ち切りに踏み切った。次期モデルは純粋なBEVではなく、ガソリンエンジンで発電するレンジエクステンダー電気自動車(EREV)へとかじを切る。収益化の目標も2029年まで先送りされた。大型車を軒並みBEVへ置き換えるという野心的な計画は、収益という壁を前にして、事実上の行き詰まりを見せている。

 対照的なのが、米国市場で着実に利益を積み上げるトヨタの動きだ。2025年モデルからカムリをハイブリッド車(HV)専用とし、2026年モデルではRAV4もこれに追随する。すでに2024年の時点で、RAV4の販売台数の半分以上を電動車が占めている事実は重い。HVはもはや特別な選択肢ではなく、最も効率のよい“主流”になったのだ。生産の複雑さを排除し、今ある資産から最大限の稼ぎを引き出す――その愚直な取り組みが、数字となって表れている。

 BMWもまた、次世代モデル「ノイエ・クラッセ」の開発を進める一方で、ガソリン車やプラグインハイブリッド車を2030年代まで併存させる構えを崩さない。先行きが見えない時代だからこそ、各社は理想論を排し、保有する資産の価値をどう守り抜くかという現実的な判断を迫られている。

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