中国の「トラック電動化」が止まらない―― NEVシェア「54%」が突きつける物流逆転 ディーゼル優位が崩れる現場の現実日本は今後どうなる?
大型トラック市場の転換点

中国の大型トラック市場で、物流の基盤を揺るがす構造変化が起きている。環境意識の高まりだけでなく、物流コストの構造的変化とエネルギー安全保障の強化が同時に進んだ結果だ。
2025年12月の大型トラック新規登録台数は4万5300台となり、このうち新エネルギー車(NEV。電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車の総称)の割合が54%に達した。長らくディーゼル車が主導してきた市場構成が、単月で逆転した格好だ。2025年通年でもNEV比率は29%に上昇し、登録台数は23万1100台、前年比の伸び率は182%にのぼった。
急速な普及を補助金政策のみで説明するのは実態に即さない。2025年末には下取り支援の終了や翌年からの増税を前にした駆け込み需要が発生したが、その背景には物流の収益環境と国家戦略に関わる要素が重なっている。
まず、電動トラックの運行費用がディーゼル車を明確に下回る点が挙げられる。10年間の使用で約120万元(約2800万円)の費用削減が可能との試算は、事業運営上の強力な動機となっている。
次に石油供給網への懸念だ。中国は輸入原油の42%を中東に依存し、その多くがホルムズ海峡を経由する。供給の不安定化は物流コストを左右する大きなリスクとして認識されている。
さらに、大型トラックは道路輸送で消費される石油の約半分を占め、1台あたりの排出量は乗用車100台分に相当する。この領域の電動化が進めば、輸送分野の石油依存度を半減させることも可能になる(『South China Morning Post』2026年4月17日付け)。
中国における大型トラックの電動化は、気候変動対策ではない。輸送コストの変動を抑制し、国家としてのエネルギーリスクを低減する手段として浸透し始めている。