中国の「トラック電動化」が止まらない―― NEVシェア「54%」が突きつける物流逆転 ディーゼル優位が崩れる現場の現実日本は今後どうなる?

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中国の大型トラック市場では、NEV比率が2025年12月に54%へ達し、4万5300台が登録された。支援頼みでは説明できない拡大であり、物流費とエネルギー安全保障を同時に動かす構造変化が進む。電動化は10年で約120万元の費用削減や供給リスク低減を背景に広がり、日本にも輸送全体の見直しが迫られている。

競争条件の差の拡大

中国(画像:Pexels)
中国(画像:Pexels)

 このままでは、輸送費用の面で競争力を維持できなくなる恐れがある。国内の議論は車両の性能向上に終始しているが、中国はエネルギーの調達から供給に至る物流の構造そのものを変革している。

 まず求められるのは、行政による資源の重点投入である。大型トラック1台の排出負荷は乗用車100台分に相当することを考慮し、乗用車向けの支援を大型車両や電池交換インフラへ重点的に振り向けるべきだ。電池供給や設備整備、運送会社が連携した体制構築が欠かせない。

 並行して、事業者の投資判断の見直しも急務となる。車両の購入価格だけでなく、10年間で約120万元の費用削減が見込める運用利点を重視する必要がある。燃料費の変動リスクを事業者が一方的に負う現状を脱し、安定的な運用基盤を整えることが急がれる。

 5年後、中国の大型トラック市場では電動化が常態化するだろう。2025年12月にシェア54%に達した勢いは持続し、NEVが過半を占める市場構造が定着する。

 10年後には、ディーゼル車の役割は限定的となるだろう。定型ルートの輸送や港湾、鉱山といった拠点間輸送では電動車が主流を占める見通しだ。中国石油天然気集団(CNPC)の予測でも、輸送分野のエネルギー消費の約半分を電力が担い、石油やガスの需要は大幅に抑制される。

 輸送分野での石油消費を半減させる目標が現実味を帯びるなか、業界の勢力図も変容する。価値の源泉は車両本体から、電池交換拠点の運営や電力管理システムへと移行し、エネルギー価格の変動を受けにくい物流基盤を構築した国との間で、輸送コストの格差が鮮明になる。

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