中国の「トラック電動化」が止まらない―― NEVシェア「54%」が突きつける物流逆転 ディーゼル優位が崩れる現場の現実日本は今後どうなる?
電動化を支える三要素の一致

中国の大型トラック市場は、国家のエネルギー政策、企業の収益性、実務上の利便性が合致したことで急速に拡大している。
2025年のNEV市場の伸び率は182%増を記録した。市場全体の伸び率である21%を大きく上回る水準であり、事業者が燃料費の変動リスクを抑えるため、電動化へかじを切っている実態が鮮明になっている。
技術面では電池交換方式の普及が寄与している。荷役作業を停滞させずに運行を継続できる商用車向けの専用電池ブランドも投入され、大型車両に求められる出力と耐久性が確保された。
こうした変化の背景には、原油輸入の42%を特定地域に依存する状況を改善しようとする国家戦略がある。道路輸送で消費される石油の約半分を占める大型トラックを電動化することは、供給途絶リスクに備える現実的な安全保障策となっている。
産業構造の変化も普及を後押しする。ディーゼル車市場では上位5社がシェアの75%を占める一方、電動トラック市場でも上位5社が61%を占める。既存の有力企業がけん引役となり、市場の移行が進んでいる。
公的支援なしには普及が進まないという見方は、もはや市場の実態を説明しきれない。2025年12月のNEV比率が54%に達したことは、市場が政策依存を脱し、
「自律的な拡大局面」
に移行していることを示している。市場全体の伸びが21%にとどまるなかでの急成長は、事業者が既存車両の維持よりも転換に収益上の利点を見いだしている結果といえる。
支援制度は導入の契機にすぎず、普及の原動力は中長期的な採算性の改善にある。10年間で約120万元の費用削減が可能という試算に基づき、2026年からの増税を前にした駆け込み需要も、将来の支出抑制を狙った合理的な投資判断として機能している。
運用面では電池交換方式の普及が課題解決に寄与している。充電待ち時間を解消し、電力負荷を分散させることで車両の安定稼働が可能となった。実用面での利便性が向上するなか、普及の要因を支援金のみに求める見方は、物流現場の収益構造の変化を見落としている。