「EV一辺倒」からの解放――1台売るごとに430万円の赤字、フォードが花形部署を畳んでまで回帰する「デトロイトの流儀」

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BEV一本化を見直すメーカーが相次いでいる。ただ、HVへの回帰をBEV戦略の失敗とみるのは早い。電池コストや市場、インフラの条件はメーカーや地域ごとに大きく異なり、最適解も変わる。三社の判断の背景にある構造を、データをもとに整理する。

技術選択の可変性

自動車メーカーの戦略転換。
自動車メーカーの戦略転換。

 三社が下した現在の選択は、あくまで今この瞬間の状況に対する「最適解」であり、決して不動のものではない。電池の単価がさらに下がり、街中の充電拠点が整い、人々の暮らしにおける使い勝手が変われば、有利とされる手法は再び入れ替わるはずだ。

「HVこそが正義で、BEVは失敗だった」

といった、単純な二項対立で今の局面を捉えることはできない。どの技術が合理的かは、市場環境や製造コスト、そして社会基盤の整い方によって、その都度決まるものだからだ。

 これまでの市場は、補助金や規制といった公的な力によって、なかば強引に形作られてきた側面がある。しかし、いまはその影響が薄れ、費用対効果や使い手の懐具合といった、商いの本来の原理が顔を出し始めている。

 企業にいま求められているのは、こうした潮目の変化を読み取り、限られた資金をどこへ優先して流し込むかという、投資判断の鋭さだ。ひとつの技術に社運を賭けるのではなく、状況に応じて資金の配分をすばやく見直す。その柔軟さこそが、混迷を極めるこれからの競争を勝ち抜くための、揺るぎない土台となるだろう。

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