英国を飲み込む「赤い旋風」――老舗自動車メーカーを震え上がらせる「中国勢」の物量作戦、EV価格逆転とトップ10の半数支配
英国でEV価格がガソリン車を下回った。平均価格差は785ポンド(約17万円)。背景にはZEV規制と平均11.7%の異例値引きがあり、中国勢の供給攻勢と在庫13%増が市場構造を揺さぶっている。
英国で起きたEV価格逆転

英国の自動車市場で、ひとつの節目となる事態が起きた。国内最大級の自動車売買プラットフォーム「Auto Trader」が2026年4月17日に発表した最新のリポートによると、新型電気自動車(EV)の平均価格が、ついにガソリン車のそれを下回ったのだ。
数字を詳しく見ていく。新型EVの平均価格は4万2620ポンド(約914万円)。これに対し、ガソリン車は4万3405ポンド(約931万円)となっている。その差は785ポンド。わずかな開きに見えるかもしれないが、これまで「高価な乗り物」の代名詞だったEVが、価格面でガソリン車を追い抜いた意味は小さくない。
この逆転劇は、技術革新の賜物というわけではなさそうだ。背景には、政府が掲げる
「ZEV規制(排出ガスゼロ車普及義務化)」
という高い壁がある。メーカー側は、未達による巨額の罰金を避けるため、なりふり構わぬ値引きや補助金の積み増しに動いている。さらに、部品供給から組み立てまでを一手に担う新興メーカーが安値攻勢を仕掛け、それに既存の自動車大手が防衛策を講じるなかで、この価格の均衡が生まれた。
市場が自然に成熟して安くなった――というよりは、法規制と企業の思惑が激しくぶつかり合った末の逆転といえるだろう。ここからは、プレスリリースの事実を整理しながら、この事象の裏側に潜む力学を読み解いていく。