「路線バスは使いたくない」 わずか3.7%の衝撃――距離より優先される“徒歩で完結”という発想、子育て共働き世帯の本音
徒歩10分圏に7割、15分でも73.7%が死守。一方、バス併用はわずか3.7%。首都圏戸建て価格が4988万円、東京は6092万円に達する中、共働き世帯は「時間の確実性」に資金を投じる。移動の主導権を握れない手段は、選択肢から外れつつある。
合理の連鎖が生む選択肢の消失

利用者は自分の限られた時間を守るために確実性の低いバスを避け、事業者は厳しい環境のなかで必死に運行を続けようとする。
事実、現場の状況は切迫している。この春、路線の廃止や減便は都市部を走る都営バスや関東バスでも相次いで発表され、波紋を広げている。その最大の要因は、各社に共通する深刻な運転手不足だ。日本バス協会の試算によれば、このまま減少が続けば2030年には3万6000人が不足するという。
こうした供給側の機能不全に対し、需要側の視線もまた厳しい。それぞれの主体が自身の立場から合理的に動いた結果、皮肉にも全体としてはバスという選択肢が機能しなくなる結末を引き寄せているのだ。
調査の結果に目を向けると、理想の所要時間として「10分から15分未満」の徒歩を挙げる層が18.4%存在する一方で、バスを理想とする層はわずか3.0%にとどまる。この数字の開きは、効率を重んじる世帯にとって、バスがもはや検討の土台にすら載っていない実態を物語っているだろう。
ここにあるのは明確な失策ではない。時間の正確さを何より重んじる現代の暮らしと、外の環境に振り回されざるを得ない交通システムの性質。その二つが真っ向からぶつかり合ったことで、バスが選ばれる余地が自然と削ぎ落とされていったのである。