トヨタEV「173%増」――それでも日本の関心が「世界最下位」にとどまるのはなぜか? 巨人の前進と、動かない市場の距離

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トヨタ自動車が好調な販売を維持する一方、EV関心は日本でマイナス28%と主要国で最低水準に沈む。販売は伸びても需要は動かない。HVが53%を占める市場で、合理的な選択の積み重ねが電動化の進みを鈍らせている現実が浮かび上がる。

EV販売構成の現状

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 2026年3月の国内乗用車販売は40万7564台だった。このうちEV(バッテリー式電気自動車〈BEV〉とプラグインハイブリッド車〈HV〉)は1万6924台で、割合は4.15%である。内訳は、BEVが1万2658台(3.11%)で前年から105.62%の伸びを示した一方、PHVは4266台(1.05%)で前年から12.06%減となった。燃料電池車(FCV)は29台にとどまり、0.01%である。これに対し、販売の中心はHVで、21万6337台と全体の53.08%を占めた。電動車全体の割合は57.24%に達している。

 販売の割合が過去最高を更新し、EVの広がりが進んでいるのは事実だ。ただし、この数字は消費者が新しい技術を強く求めた結果というより、排ガス規制への対応や法人需要の取り込みを急ぐメーカー側の意図が色濃く出たものとみられる。

 HVが過半を保つ現状は、日本の利用者にとって従来の仕組みがすでに使い勝手のよい選択であることを示している。いまの暮らしに大きな不便がない以上、大きな変化をともなう選択を避けるのは自然な判断である。見かけ上の普及が進む一方で、実用を重んじる消費者と、数値目標を追う供給側の思いはかみ合っていない。

 メーカー別では、トヨタ自動車が5140台を販売し、前年から

「173.11%増」

と大きく伸びた。国内勢では日産自動車が3588台、三菱自動車工業が1348台と続く。2025年通年の輸入EV販売は3万9797台に達し、2026年3月のEV全体に占める輸入車の割合は35.95%となった。テスラを中心とした海外勢の進出により、国内の競争は一段と激しくなっている。トヨタの伸びを支えたのはbZ4XやレクサスRZ450eなどのBEVで、これらで3456台を積み上げた。

 トヨタの伸びが示すのは、消費者がEVという新しい技術そのものに引かれたというより、「トヨタ」という名前への信頼に依ったという現実だろう。不確かな要素が残るからこそ、安心できる選択を求める。負担を抑えようとする意識が、この伸びを支えている。

 一方で輸入車の存在感が高まっていることは、EVが実用の移動手段というより、特定の生活のあり方を示すものとして受け止められている面があることも示している。輸入車に価値を見いだす層と、車を生活の道具と見る層。海外勢の攻勢により、市場のわかれ方はさらに鮮明になっているのだ。

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