2年後に運行休止! かつてJRと競った「北国の鉄路」、観光列車と巨額支援が続いても事業継続が難しくなったワケ

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観光列車で集客を図る一方、2028年休止を決めた弘南鉄道大鰐線。輸送密度は約4500人から498人へ急減し、2025年度も6459万円の赤字が残る。自治体支援が続くなか、地方鉄道の維持の難しさが改めて浮き彫りになっている。

自治体主導の支援枠組み

大鰐線の起点・中央弘前駅。2014年8月撮影(画像:菅原康晴)
大鰐線の起点・中央弘前駅。2014年8月撮影(画像:菅原康晴)

 沿線の自治体は以前から大鰐線の支援に動いており、2013(平成25)年には弘前市と大鰐町、経済団体などが参加して存続に向けた協議会を立ち上げた。さらに2021年には、弘南線を含む弘南鉄道に対し、

・弘前市
・黒石市
・平川市
・大鰐町
・田舎館村

の5市町村が総額約9億5000万円を拠出する支援計画を示した。この計画は2025年1月、大鰐線の休止決定に合わせて一部が見直されている。

 支援の中身としては、安全輸送対策として鉄道施設の修繕や更新にかかる費用に対し、国の補助と歩調を合わせた助成に加え、事業者の負担分や対象外となる費用にも補助を行った。あわせて、利用を増やすための取り組みとして、観光客など地域外からの利用者を増やす施策を支え、それでも赤字が出る場合は、翌年度にその欠損分を補う仕組みを設けた。

 2021年度から2025年度までの5年間で見ると、大鰐線に関わる事業費と沿線市町村の負担見込みは、安全輸送対策が2億3060万円、利用促進が4710万円で、いずれも当初の枠内に収まった。一方で、2022年度から2028年度にかけての運行欠損補助は、当初の2億2050万円に対し2億3450万円となり、900万円上振れしている。

 こうしたなか、2025年度の収支は営業収益7480万円に対し営業費が1億6670万円で、差し引き9190万円の営業赤字となった。運行欠損補助を除いた補助金を加えても、なお

「6459万円の赤字」

が残る。この6459万円は運行欠損補助で埋められるが、JRという競合路線があり、1日当たりの利用者が500人に満たない路線を、費用のかかる鉄道として維持することには、異なる見方もあったとみられる。

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