2年後に運行休止! かつてJRと競った「北国の鉄路」、観光列車と巨額支援が続いても事業継続が難しくなったワケ
観光列車で集客を図る一方、2028年休止を決めた弘南鉄道大鰐線。輸送密度は約4500人から498人へ急減し、2025年度も6459万円の赤字が残る。自治体支援が続くなか、地方鉄道の維持の難しさが改めて浮き彫りになっている。
大鰐線の成立と路線特性

大鰐線は、旧弘前電気鉄道が1952(昭和27)年に開業した路線で、中央弘前~大鰐間13.9kmを結ぶ電化鉄道である。1970年、弘前~黒石間を走る弘南線を運行していた弘南鉄道に経営が移り、弘南鉄道大鰐線となった。
JR奥羽本線の弘前~大鰐温泉間とは国鉄時代から競合してきたが、JR弘前駅は古くからの繁華街からやや離れている。一方、大鰐線の中央弘前駅は繁華街のすぐ裏手にあり、沿線には高校や大学もある。このため、一定の役割分担が保たれていた。
しかし、国鉄の民営化後はJRが列車本数を増やした。大鰐線は運賃がJRより高いものの、本数の多さで利用を支えてきたが、次第に優位性を失った。沿線人口の減少も重なり、厳しい経営が長く続いた。
1975年に1日当たり4531人だった輸送密度は、コロナ前の2019年には
「498人」
まで減り、およそ10分の1となった。2019年には中央弘前~弘高下間を走行中の上り列車で脱線が発生し、2023年にも大鰐~宿川原間で下り列車の脱線が起きた。いずれも設備の老朽化などが原因とされ、大鰐線は安全な運行を保つこと自体が難しい状況にある。
筆者(菅原康晴、フリーライター)は1990年代、2000年代、2010年代に大鰐線に乗車した経験があるが、年を追うごとに状態の悪化を感じざるを得なかった。