「不祥事は絶対に忘れない」 それでも“旧ビッグモーター”の流れをくむ企業が4位浮上! 顧客満足度ランキング、5610人の選択とは
分野別評価の分散と信頼回復の難しさ

今回の順位を俯瞰すると、消費者の信頼がどこか一社に集まるのではなく、驚くほど細かく散らばっている現状が見えてくる。
手続きの進め方ではTAXが73.5点で首位に立ち、品質や接客、納得感といった五つの項目では、アップルが常に上位3位に顔を出す。さらに車種に目を向ければ、スポーツタイプ多目的車(SUV)やクロスカントリーの分野ではガリバーが66.2点で他をリードするといった具合に、評価の軸が変わるたびに主役が入れ替わる。いわば、各社が己の得意とする領域で競い合い、信頼の切り売りが起きている状態だ。
企業が自らの強みを研ぎ澄ますのは、生き残り策として筋が通っている。しかし、買い手の視点に立てば話は別だ。質ならここ、手続きならあそこ、特定の車種ならあちら――といった具合に、1か所でまとめて安心を買えない不便さがつきまとう。この状況は、比較検討にかかる手間や時間を膨らませ、取引の重荷となる。各社が自らの利益を求めて細部を磨き上げるほど、業界全体としては信頼のありかが見えにくくなり、拭いきれない不安が残る。個々の正しさが、全体としての満足度を損なうという構図が浮かび上がっている。
一方で、ネクステージは総合9位(65.9点)と、苦しい立ち位置に甘んじている。もっとも、SUV・クロスカントリーやセダンの分野ではガリバーに次ぐ2位に食らいついており、品揃えの底力は失われていない。それでも総合評価が沈んだままなのは、個別の商品力以上に、企業そのものへの眼差しが厳しくなっている証左だろう。
情報が瞬時に広まり、消えない足跡として残る今の世のなかでは、不祥事でついた傷は商品の価値を削り取る重い負担となる。どれほど車そのものの質を整えたところで、買い手は企業への不信感を、接客の印象や価格の納得感から無意識に差し引いてしまう。現場がどれほど汗を流して改善を積み重ねても、それが広く認められるまでには、長い時間がかかる。この
「埋めがたい時間差」
が、いまの歩みを阻む壁となっている。商品の良さと、企業への評価。そのあいだに横たわる溝が、いま、経営の現場に重くのしかかっているのだ。