グーグルが隠した「無人タクシーの正体」――車は本当に“自律”していたのか? 事故が暴いた遠隔支援と統治の空白
コロナ後に加速する自動運転実用化の裏側で、米ウェイモの無人タクシー事故が波紋を広げている。遠隔支援を担う人員の一部が海外に分散する実態が明らかとなり、安全性と国家安全保障の両面から規制論議が急速に高まっている。
安全業務に潜むコスト優先の懸念

海外の人手に頼るやり方は、費用を抑えるという点では理屈に合っている。しかし、人の命に関わる安全な業務で安さを優先しているのではないか、という疑いは拭い去れない。無人タクシー事業を商売として成り立たせるためには、人件費を削り、利益を生む形を整えなければならないからだ。
米国内の見守り役に高い賃金を払い続ければ、これまでのタクシーや配車サービスに対する強みはたちまち失われてしまう。フィリピンなどへ拠点を置くのは、事業を続けるためのやむを得ない手だてとも見える。
前述のマーキー上院議員は、これが深刻な雇用の問題にほかならないと厳しく指摘した。自動運転が広まることでタクシー運転手の職を奪うだけでなく、それを見守る業務までもが国境の外へ流れている。国内の仕事を削り、その代わりとなる役目を国外に投げ出すという構図だ。
情報技術の世界で海外への委託や遠隔での操作はもはや珍しい話ではない。それでも、人の命を預かる移動の分野である以上、企業にはその中身を詳しく明かす重い責任があるはずだ。