グーグルが隠した「無人タクシーの正体」――車は本当に“自律”していたのか? 事故が暴いた遠隔支援と統治の空白
コロナ後に加速する自動運転実用化の裏側で、米ウェイモの無人タクシー事故が波紋を広げている。遠隔支援を担う人員の一部が海外に分散する実態が明らかとなり、安全性と国家安全保障の両面から規制論議が急速に高まっている。
海外に頼る安全管理の盲点

コロナ禍を経て在宅勤務は当たり前となったが、その波は今、自動運転という最先端の分野で思わぬ摩擦を生んでいる。きっかけは、グーグル傘下のウェイモが動かす無人タクシーが、米カリフォルニア州の小学校近くで子どもをはねた事故だった。この事態を重く見た米上院は公聴会を開き、同社の安全責任者であるマウリシオ・ペーニャ氏を呼び出した。そこで厳しく問われたのは、機密に関わる部品をどこから入れているか、そして「働き手がどこにいるか」という点だった。
証言から明らかになったのは、車両の安全を見守る担当者が米国内だけでなく、フィリピンなどの海外拠点にわかれているという実態だ。ウェイモ側はこれを「遠隔支援」と呼んでいる。車両が判断に迷う場面で、現地の映像を見た担当者が助けを出す仕組みだが、この事実が表に出たことで、議論は交通安全の範囲を超えた。もはやこれは、国の守りに関わる政治問題へと姿を変えている。
そもそも、大事な判断を人間に委ねているのであれば、それを本当にひとりでに動く仕組みと呼べるのだろうか。現場の映像を見て状況をさばく作業は、実質的に運転の一部を切り出したものにほかならない。技術が届かない足りない部分を、安価な海外の網の目で見繕っているのが今の姿だ。
車両だけで完結せず、通信や海外拠点の質に安全を預ける形には、実用化を急ぐあまりに生じた無理が透けて見える。