「遮断機のない踏切」今後なくせるのか? 改修費1か所「1500万円以上」という現実、膨大な更新負担と安全投資の行方とは

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踏切は全国で減少を続ける一方、今も第3・4種踏切が約1割残り、1か所の改修費は1500万~2500万円にのぼる。近鉄はAI見守りを本格導入し、限られた資金と人手の中で安全をどう確保するかが問われている。

近鉄におけるAI見守り導入

「踏切道歩行者見守りシステム」の仕組み(画像:丸紅I-DIGIO)
「踏切道歩行者見守りシステム」の仕組み(画像:丸紅I-DIGIO)

 踏切事故を防ぐためのアプローチが、物理的な遮断からデジタルによる「見守り」へと舵を切っている。近畿日本鉄道(大阪市)は2025年4月から続けてきた、AI画像解析による「踏切道歩行者見守りシステム」の試験運用を完了させた。これを受け、奈良線の瓢箪(ひょうたん)山第2号踏切と京都線の山田川駅構内踏切において、いよいよ本格的な運用が始まる。

 システムの供給を担うのは、丸紅I-DIGIOグループでIT基盤を手がける丸紅ネットワークソリューションズ(東京都文京区)だ。同社が近鉄に納めたこの仕組みは、約半年に及ぶ現場での検証を経て、実地での信頼性を確かめてきた形である。

 スマートフォンの顔認証でロックを解除するように、AIによる画像認識自体は、私たちの暮らしには深く根を張っている。その技術を踏切へと応用したのが今回の試みだ。線路内で足を取られて転倒したり、何らかの事情で動けなくなったりした歩行者を瞬時に検知し、特殊信号発光機などと連動して列車の運転士に危険を知らせる。

 とりわけ高齢者の場合、一度転倒してしまえば自力で、かつ短時間で脱出するのは極めて困難だ。こうした「もしも」の事態を前提にした備えは、鉄道事業者にとって逃れられない責任といえるだろう。

 これまでの踏切対策は、柵を設けたり遮断機を強化したりといった物理的な対応が主流だった。しかし、本システムは情報処理によって安全の質を高める点に特徴がある。既存の支柱などをそのまま活用できるため、大規模な土木工事をともなわず、設置コストを抑えられるメリットも大きい。

 少子高齢化にともなう人手不足が深刻化するなか、テクノロジーによって監視の精度を維持し続ける。今回の本格導入は、これからの鉄道インフラが歩むべきひとつの道筋を示しているのではないか。

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