「私は中国を称賛したい」――テスラ追随の代償「1車種23億円」、格納式ドアハンドル規制が突きつける安全基準の構造転換
中国発の格納式ドアハンドル規制は、安全基準を軸に世界へ波及し始めている。中国は2027年からの新基準を公布し、米国でも約18万台規模のリコール検討や法案提出が進む。EV普及で広がった先進的な外観は、事故を背景に見直しが迫られ、市場やメーカーの対応コストにも影響が及んでいる。
米国でも遠からず規制される見込み

ドアハンドルの規制は中国にとどまらず、米国でも検討段階に入っている。テスラの事故を受け、米国の運輸省道路交通安全局(NHTSA)は調査を開始した。対象はテスラ「モデル3」の2022年モデルで、緊急時にドアを開けにくいという利用者の声が背景にある。問題が確認されれば、約18万台の大規模な回収(リコール)に発展する可能性が高い。
テスラ車には電子機能が停止した際の手動レバーが備わっているが、目立ちにくい位置にあるため、外から救助する際に支障が出る。こうした使い勝手の不備は、衝突時の生存に関わる重要な問題である。
米国議会では、安全に車外へ出ることを目的とした「SAFE Exit Act」という法案が2026年2月に提出された。車内に手動レバーを備えることや、車外から車内へ入る手段を確保することを求める内容である。中国の規制と同様に、格納式を直接禁じるものではないが、結果としてこの機構は使われにくくなる見通しだ。
法案が成立し、中国と米国という大きな市場で基準がそろえば、世界全体で車両の仕様が共通化に向かう。地域ごとに仕様を変えると生産効率が下がるため、各メーカーは最も厳しい基準に合わせて車両を用意することになる。
この動きは、これまで外観の良さとされてきた要素が、
「緊急時に確実に使えるかどうか」
へと重視が移っていることを示している。見た目の先進性よりも、実際の場面で機能するかどうかが重んじられるようになっている。中国による制度の整備は、世界の基準づくりに大きな影響を与えている。同様の安全基準は、日本でも早い段階で検討する必要があるだろう。