「私は中国を称賛したい」――テスラ追随の代償「1車種23億円」、格納式ドアハンドル規制が突きつける安全基準の構造転換
中国発の格納式ドアハンドル規制は、安全基準を軸に世界へ波及し始めている。中国は2027年からの新基準を公布し、米国でも約18万台規模のリコール検討や法案提出が進む。EV普及で広がった先進的な外観は、事故を背景に見直しが迫られ、市場やメーカーの対応コストにも影響が及んでいる。
ドアハンドル市場への急ブレーキ

格納式ドアハンドルの規制は、安全を重視すれば避けにくい判断だが、関連する市場には大きな影響が出る。これまでこの機構は、先進的な外観と使いやすさの両面から需要が広がると見られてきた。
調査会社の見通しでは、2023年時点で2024年から2033年にかけて市場規模は12億ドルから25億ドル(3973億円)へ拡大し、年ごとの伸び率も10%から15%程度に達するとされていた。成長が期待される分野だったが、中国の規制により、関係企業は方針の見直しを迫られ、先行きの見通しは不透明になっている。
部品メーカーは成長分野として量産を急いできた。自動車ロックシステム大手のアルファ(神奈川県横浜市)は、2023年に量産を表明し、2026年の開始を目指していた。付加価値の高い製品を投入して売上を伸ばす計画だったが、この方針も修正が必要になる。すでに投じた開発費が回収できない損失になる可能性もある。今後は、機械的な構造と電動機能の両方を備えた複雑な部品を安定して供給できるかが、事業を続ける上での重要な条件となる。
完成車メーカーにとっても、規制に合わせて車両の仕様を変更する負担は小さくない。ブルームバーグによれば、中国のEVメーカーの関係者は、対応費用が1車種あたり
「1億元(23億円)」
に達すると述べている。この水準の負担は、資金力の乏しい新興企業にとって収益を圧迫し、市場からの撤退につながるおそれがある。
今回の規制は中国市場向けのものだが、安全への要求は世界的に高まっており、同様の機構を採用する各社は、国を問わず車両の構成を見直す必要に直面する可能性が高い。