「アメリカの関税には耐えられません」 マツダの南米再攻略は成功するのか?――15%関税が揺らす北米依存、422万台市場で始まる日本車の生存競争とは
南米主要7か国の新車市場は422万台規模に拡大。ブラジルでの厳格な排出ガス規制を前に、日本メーカーはスバル撤退、マツダ再挑戦と明暗をわけ、収益確保と規制対応の両立が生き残りのカギとなる。
ブラジル市場の勢力図

南米は、欧米勢による独占体制から、グローバルな実力行使が交錯する主戦場へと塗り替えられた。ブラジルでは、厳しい環境規制が進むなかで、ガソリンとサトウキビ由来のエタノールを併用するフレックス燃料車が7割超を占め、確固たる地位を築いている。1970年代のオイルショックを契機に始まった国策による燃料転換は、半世紀を経て、独自の経済圏を支える強固な基盤となった。
こうした背景から、ブラジルは一定の規模を持ちながらも、外部からの安易な侵入を阻む特有の壁を備えている。2025年以降の「Mover(ムーブ)」プログラムの導入により、政府は2028年までに総額193億レアル(約5800億円)に及ぶ税額控除を提示し、現地での開発と脱炭素化を強力に後押ししている。この仕組みは、規制を順守できない企業を淘汰する一方で、高度な技術投資を惜しまない勢力に市場を明け渡す役割を担う。
現在の競争の本質は、エンジンの改良にとどまらず、エタノールと電気を組み合わせた「ハイブリッド・フレックス」技術の主導権争いへと移行した。トヨタやフォルクスワーゲンが既存の優位を保とうとするなか、BYDのような中国勢は巨額の資本を背景に、現地のインフラに最適化した製品を投入し、勢力図を根底から動かそうとしている。
排出ガス規制の強化は、旧来のビジネスモデルを破壊し、現地に根差した高度な技術力を要求する新たな秩序をもたらしたのだ。