「アメリカの関税には耐えられません」 マツダの南米再攻略は成功するのか?――15%関税が揺らす北米依存、422万台市場で始まる日本車の生存競争とは

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南米主要7か国の新車市場は422万台規模に拡大。ブラジルでの厳格な排出ガス規制を前に、日本メーカーはスバル撤退、マツダ再挑戦と明暗をわけ、収益確保と規制対応の両立が生き残りのカギとなる。

マツダの南米参入

Mazda Toyota Manufacturing, USA, Inc. (画像:Mazda Toyota Manufacturing)
Mazda Toyota Manufacturing, USA, Inc. (画像:Mazda Toyota Manufacturing)

 マツダは、メキシコ拠点の生産能力を最大限に活用し、アルゼンチンへの復帰とブラジルへの新規進出を計画している。メキシコと南米諸国が結ぶ自由貿易協定を盾に、35%の輸入関税という高い壁をすり抜ける戦略だ。最大の課題は、ブラジルのL8規制をいかに効率よく突破するかに集約される。

 この決断の裏には、米国の通商政策がもたらす不透明感への強い焦りがある。マツダのグローバル販売の4割を支える米国は、同社の屋台骨だ。2024年には42万台超という過去最高の販売を記録したが、2025年8月以降は7か月連続で前年を下回るなど、関税リスクの拡大が実体経済に影を落としている。

 米国にあるトヨタとの合弁工場は、年間30万台の生産能力を半分ずつわけ合っているため、マツダが確保できるのは15万台分にすぎない。売れ筋の「CX-50」をフル生産しても米国需要の半分にも満たず、日本やメキシコからの輸入で穴を埋めてきた。しかし、メキシコから米国への輸出に15%の関税がかかる現状では、従来のビジネスモデルを維持することは極めて困難だ。

 メキシコ工場は、マツダ2やCX-30などを年間20万台以上生産し、2024年には稼働率が83%にまで達していた。北米での販売失速が工場の重荷になる事態を避けるため、南米という出口を確保することは、企業の存続に関わる経営資源の適正化を意味する。

 マツダは2001年の経済危機によりアルゼンチンから撤退した苦い過去を持つ。しかし、今回の再挑戦はメキシコ拠点の操業度を支えるための避難先確保という実利的な側面が強い。南米での成功は、特定の巨大市場に依存しすぎた構造を改め、世界情勢の変化に左右されない強固な収益基盤を作るための通過点となる。

 この挑戦が実を結べば、関税リスクに苦しむ他メーカーの進むべき道を示す先例となるはずだろう。

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