「アメリカの関税には耐えられません」 マツダの南米再攻略は成功するのか?――15%関税が揺らす北米依存、422万台市場で始まる日本車の生存競争とは
ブラジルの排出ガス規制

南米主要7か国の2025年販売台数は422万台に達し、日本国内に匹敵する規模となった。その内訳は、最大市場であるブラジルが269万台、次いでアルゼンチンが55万台、チリが33万台、コロンビアが25万台と続く。長らく
・ステランティス
・フォルクスワーゲン
・ゼネラルモーターズ
がこの地を寡占してきたが、近年は現代自動車やトヨタ、比亜迪(BYD)が急速にシェアを伸ばしている。一方でホンダや日産のシェアは数%にとどまり、勢力図の変動が激しい。
特にBYDは、バイーア州カマサリ工場に
「約30億レアル(約900億円)」
を投じ、2026年7月までに現地生産を本格化させる。年間の生産能力は当初の15万台から30万台まで拡張可能だ。2025年の販売台数は約11万台だが、2026年には50%の増加を見込んでおり、稼働後1年以内に最大8モデルを投入する計画だ。これは北米や欧州で強化される中国車への関税包囲網を避け、南米を供給網の拠点とする意図が透けて見える。
参入条件を劇的に変えたのが、排出ガス規制「Proconve L8」の発効だ。NMOG + NOxの規制値は、2022年の「L7」での80から、2025年には50、2027年には40、2029年には30へと段階的に引き下げられる。この基準は欧州の数値(128~170)を大幅に下回り、米国の厳しい基準(約18.6)に迫る水準だ。高度な処理システムの搭載や多額の開発費を強いる規制は、投資余力のないメーカーを振り落とす淘汰の役割を果たしている。
事実、対応に向けた投資競争は激化している。ルノーと吉利汽車傘下のHORSEは約1億レアル(約30億円)を投じて1.3Lターボフレックスエンジンを生産し、日産は2025年2月に適合済みの1.6Lエンジンを載せた「キックス プレイ」を発売した。
排出ガス規制の強化は、経営資源を集中投下できる上位層が市場を支配する構造を強めており、規模の小さなメーカーにとっては事業継続のハードルが極めて高くなっているのだ。