「アメリカの関税には耐えられません」 マツダの南米再攻略は成功するのか?――15%関税が揺らす北米依存、422万台市場で始まる日本車の生存競争とは
南米主要7か国の新車市場は422万台規模に拡大。ブラジルでの厳格な排出ガス規制を前に、日本メーカーはスバル撤退、マツダ再挑戦と明暗をわけ、収益確保と規制対応の両立が生き残りのカギとなる。
相次ぐ撤退とモデル終了

スズキと三菱自動車の車両組立を担うHPEは、2024年末にブラジル・ゴイアス州のエンジン工場を閉鎖した。三菱自動車のピックアップトラック「L200」に載せる2.4Lディーゼルエンジンや、スズキ「ジムニー シエラ」の1.5Lエンジンが、新たな環境基準であるProconve L8を満たせなくなったためだ。
現地メディアの報道によれば、スバルも2026年2月にブラジルでの新車販売を終え、すべてのディーラーを閉鎖した。サンパウロの拠点で「フォレスター」の2023年型が在庫限りとなったことが、事実上の市場退出を決定づける要因となった。
スバルにとって、販売規模が限られるブラジルのために独自の水平対向エンジンをL8基準へ適合させる開発コストは、投資としての採算が合わない。自社の強みである技術が、規制対応に伴う多額の固定費を回収できない負債に変わった。
こうした収益性の見極めは他社でも進んでおり、2026年末までに三菱自動車のトライトンやパジェロスポーツ、ジープ・グランドチェロキー4xe、フォルクスワーゲン・アマロックなど合計7モデルが生産終了に追い込まれる見通しだ。
稼働率や利益率の低い事業を切り捨てる動きは、経営資源を次世代へ振り向けるための合理的な判断の結果である。スズキが電動車「eビターラ」の投入を検討しているように、規制強化は旧世代の製品を退場させ、強引に世代交代を促す仕組みとして機能している。
開発効率を最優先した製品の取捨選択が加速するなか、独自性を追求してきた小規模メーカーは、生存そのものが危ぶまれる局面を迎えているのだ。