京都市バスが踏み込む“二重運賃”の聖域――「毎日通うのに400円なのか」 市外通勤者を観光客と同列に扱う“差別”的格差とは

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京都市は2027年度、市バスで市民優先運賃を導入し、観光客向け料金を最大2倍に引き上げる。人手不足と物価高に直面する交通事業者に収益改善の道を示す一方、市外通勤者を含む柔軟な仕組みが成否を左右する。

17年前の議論

インバウンドが見た京都イメージ(画像:Pexels)
インバウンドが見た京都イメージ(画像:Pexels)

 オーバーツーリズム(観光公害)とは、観光による収益以上に、過剰な流入がもたらす弊害が大きくなる現象だ。

 これまでは観光の利益が市民に届いている実感が乏しかった。こうした問題は、以前から京都市の有識者会議でも議論されてきた。2009(平成21)年3月30日の第3回京都市バス・地下鉄事業経営健全化有識者会議の議事録では、5000万人の観光客が訪れるなか、観光が都市の財政や産業振興に十分寄与しているか疑問が呈されている。

 17年前に指摘されたことは重い。一律の運賃設定では、需要が増えるほど運行コストが膨らみ、収益性が低下していた。観光客に高い負担を求めるのは、行楽客を遠ざけるためではなく、サービス提供にかかる費用を適正に回収するためである。

 乗客が市民かどうかの判別は、交通系ICカードとマイナンバーカードをひも付ける仕組みで行う。以前は個別の判別に多大な事務負担がかかったが、デジタル技術の活用により大幅に簡素化された。

 ひも付け済みの市民がICカードを使えば自動的に市民向け運賃が適用され、それ以外の利用者には改定後の高い運賃が請求されるのだ。

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