「一社ではもう戦えません」 ウーバーと組む日産の逆転劇? ロボタクシー市場26兆円「利益・主導権」は誰の手になるのか
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世界のロボタクシー市場は2025年の33億ドルから2032年に1653億ドルへ拡大する見通しだ。日産がウーバーと組む自動運転の協業は、その巨大市場をめぐる主導権争いの一幕にすぎない。いま問われているのは車の性能ではなく、移動データと配車ネットワークを握る企業が誰かという構図である。
巨大経済圏の構造

現在の自動運転をめぐる勢力図は大きく三つの流れにわかれている。
アルファベット傘下のウェイモやテスラに代表されるIT企業群だ。ソフトウェアを軸に据え、データを集めて管理しながらサービスまで一体で手がける体制を整えている。この形では車両の価値は情報処理を完結させるための物理的な基盤へと移っていく。
ウーバーに象徴される配車ネットワークの陣営もある。自社で自動運転技術を抱え込む必要はない。世界中にある技術をつなぐ窓口となることを目指す戦略だ。実際、ウーバーはウェイモのほか、中国の百度(バイドゥ)、ウィーライド、ポニーAIなど20社を超える企業と手を組んでいる。自ら大きな資産を抱えないことで身軽さを保ち、利用者が最初に開くアプリの位置を押さえることに力を注いできた。
三つ目が伝統的な自動車メーカーのグループである。生産能力や安全技術では強い力を持つものの、利用者と直接つながる窓口を持たない点が弱みになりやすい。これまでの商売は販売店を通じて車両を売れば終わる仕組みで、デジタルサービスの利用データが企業の手元に残りにくかった。
ウーバーはこの構図を巧みに突く。日産のようなメーカーが車両代金や整備費、事故責任といった重い負担を引き受ける一方で、自らは仲介手数料を主な収益源とする。結果として高い利益率を確保できる立場に立つ。
資産を抱えない配車プラットフォームが利益を得る構造のなかで、メーカー側は設備や車両といった重い資産を背負い、土台を支える役割を担うことになる。アルファベットのある部門が四半期で14億2000万ドル(約2240億円)の損失を出しながらも開発を続けるのは、この構造から離れ、自ら主導権を保つための負担を引き受けているとも見える。