「無人フォークリフト」で倉庫は本当に救えるのか?――1台1000万円超、前向きだった現場担当者が突然沈黙する理由

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物流現場の人手不足は深刻で、輸送従事者の有効求人倍率は2.27倍に達する。無人フォークリフト(AGF)は搬送作業の効率化に期待される一方、高額な導入費用や現場での共存課題が課題となっている。

安全面の課題

倉庫で稼働中の「ラピュタAFL」(画像:ラピュタロボティクス)
倉庫で稼働中の「ラピュタAFL」(画像:ラピュタロボティクス)

 一方、AGFは教科書どおりの動きしかできない。ラックの前で旋回し、フォークを上げ、マスト角を調整し、爪を押し出す。この作業をひとつずつ確実に実行する。これが1日に数十回、数百回繰り返されるため、生産性の差は大きい。

 無人フォークリフトを3台導入すれば3人分の人件費が削減できる――という見積もりは、有人フォークリフト作業をAGFに代替させるうえでは現実的ではない。

 安全面でも懐疑的である。有人フォークリフトとの共存には危険がともなう。オペレーター同士は目配せや暗黙の了解で作業の優先順位を調整し、安全でスムーズな現場を維持している。しかし無人フォークリフトとは意思疎通ができないため、動線が重なると危険が生じる。センサーで接触は防げるかもしれないが、緊急停止や復旧に時間がかかるケースは避けられない。

 こうした理由から、AGFは計画的に導入する必要がある。具体的には、役割分担の明確化やゾーニングの設定が不可欠である。物流責任者が慎重になる背景には、現場での共存の難しさもあるといえる。

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