「無人フォークリフト」で倉庫は本当に救えるのか?――1台1000万円超、前向きだった現場担当者が突然沈黙する理由

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物流現場の人手不足は深刻で、輸送従事者の有効求人倍率は2.27倍に達する。無人フォークリフト(AGF)は搬送作業の効率化に期待される一方、高額な導入費用や現場での共存課題が課題となっている。

導入コストの壁

590万円~の低価格を実現した「AutoFork Lite」(画像:ハクオウロボスティクス)
590万円~の低価格を実現した「AutoFork Lite」(画像:ハクオウロボスティクス)

 AGFは物流課題解決の救世主ではないか――ここまででそう考えた人も多いだろう。日々、自社の物流課題に直面している物流責任者であれば、期待を抱いたはずだ。

 しかし、冒頭で紹介したA氏の言葉どおり、ここからトーンは下がる。物流責任者が慎重になる理由は、コストである。

 まず1台あたりの車両価格を見てみる。一般的な倉庫で使われる1t前後の有人リーチフォークリフトは約350万円なのに対し、無人フォークリフトは1000万円を超えることが多い。

 加えて、システム開発費や外部連携費などの初期費用が必要だ。メンテナンスやバッテリー交換といったランニングコストや、効率的に活用するためのレイアウト変更も考慮しなければならない。総額はどれほどになるのか。あるAGFメーカーは「4000万円~」との試算を示していた。最近では、車両本体価格が約600万円の廉価版も登場している。ただし、機能は制限されており、実用性には疑問が残る。

 中小企業省力化投資補助金などを活用すれば導入費用を抑えることも可能だ。導入費用の一部を50%補助する制度もある。しかし、申請要件のハードルは高く、それでも有人フォークリフトと比べて初期費用、ランニングコストともに高額であるのが現実だ。中小企業にとっては、まだ手が届きにくい存在である。

 A氏によれば、物流責任者は人件費削減や人手不足解消の効果には期待する。しかし、高額な投資になるため、稟議を通せる自信がないのが本音だという。

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