「無人フォークリフト」で倉庫は本当に救えるのか?――1台1000万円超、前向きだった現場担当者が突然沈黙する理由
物流現場の人手不足は深刻で、輸送従事者の有効求人倍率は2.27倍に達する。無人フォークリフト(AGF)は搬送作業の効率化に期待される一方、高額な導入費用や現場での共存課題が課題となっている。
人手不足の深刻化

AGFで解決できる物流課題とは具体的に何か――企業がAGFを導入する目的は、人手不足への対応であることが多い。物流現場で人手不足がどれほど深刻なのかを見ていく。
人手不足の状況は、ひとり当たりの求人件数を示す有効求人倍率で測られる。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分)」によれば、全職業の有効求人倍率は1.17倍であるのに対し、輸送・機械運転従事者は2.27倍と約2倍の差がある。求職者ひとりに対して2.27件の求人があることを示しており、人手不足の深刻さが浮き彫りになる。
人手不足は物流の危機の最大要因となっている。2030年には輸送能力が約30%低下するとの試算もある。現在、ネットショップで商品を注文すれば即日から数日で届き、コンビニの棚には商品が隙間なく並ぶのが当たり前になっている。しかし、この状態が数年後には維持できなくなる可能性がある。
物流の課題を議論する際は、トラックドライバーの残業規制や人手不足に注目しがちだ。ただ、物流拠点での人手不足も見逃せない。倉庫での入出荷作業は輸配送に直結するためだ。
近年、物流業界では官民が一体となって現状打破に取り組んでいる。2026年4月からは法改正により、一定規模以上の事業者には物流統括管理者(CLO)の設置が義務化される。これまで現場任せだった物流を、経営層が責任を持って管理することになる。国が物流の危機を社会課題として認識していることの表れだ。