「無人フォークリフト」で倉庫は本当に救えるのか?――1台1000万円超、前向きだった現場担当者が突然沈黙する理由

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物流現場の人手不足は深刻で、輸送従事者の有効求人倍率は2.27倍に達する。無人フォークリフト(AGF)は搬送作業の効率化に期待される一方、高額な導入費用や現場での共存課題が課題となっている。

生産性の課題

走行速度最大9km/hを実現した「プラッターオート Hタイプ」(画像:三菱ロジスネクスト)
走行速度最大9km/hを実現した「プラッターオート Hタイプ」(画像:三菱ロジスネクスト)

 筆者は物流倉庫で14年以上現場作業に従事した。その現場目線でも、AGFにはまだ課題が多いと感じる。

 まずは倉庫の生産性である。展示会でのデモ機や各メーカーの商品紹介動画を見て感じたのは、動きが遅いということだ。導入企業の担当者からも同様の声が上がっている。ここでいう「遅い」とは、有人フォークリフトとの動きの比較である。

 数字で見ると、筆者が確認した限りAGFの平均走行速度は約4km/hである。速い機種では三菱ロジスネクストが走行速度最大9km/hを掲げている。この走行速度だけを見ると、制限速度8km/h以下の現場も多く、一般的な有人フォークリフトと大きな差はない。しかし、有人フォークリフトのオペレーターの技術は、直進速度だけでは測れない。

 例えばトラックの荷台やラック上段への荷積み・荷降ろしでは、ベテランオペレーターは複数のレバーを同時に操作して、前後進、フォークの上げ下げ、マスト角度の調整、フォークの出し入れ、安全確認を同時に行っている。安全衛生上の正しい操作ではない場合もあるが、実務として安全を確保しながら行っている。

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